「急に高い熱が出た」
「体がだるくて起き上がれない」
「関節や筋肉がひどく痛む」
冬場を中心とする季節の変わり目などに、このような急激な体調不良に襲われた場合、それは単なる風邪ではなく「インフルエンザ」の可能性があります。
インフルエンザは進行が非常に早いため、「ただの風邪かもしれない」と無理をしてしまうと、症状が長引いたりご家族にうつしてしまったりする原因になります。
体調に急激な異変を感じたら、まずは当院へご相談ください。
インフルエンザとは?主な初期症状
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで起こる呼吸器感染症です。感染してから1〜3日ほどの短い潜伏期間を経て、突然症状が現れるのが特徴です。
以下の項目に複数当てはまる場合は、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。
- 38℃以上の高熱が、前触れもなく突然出た
- ゾクゾクとする強い悪寒(寒気)がある
- 全身の強いだるさ(倦怠感)で動くのがつらい
- ふしぶしの痛み(関節痛)や筋肉痛がある
- 熱が出た後から、乾いた咳やのどの痛みが出てきた
- 周囲(職場、学校、ご家族)にインフルエンザの人がいる
お子様の場合は、これらに加えて吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸炎によく似た症状が現れることも珍しくありません。
一般的な「風邪」との違い
インフルエンザと風邪は初期症状が似ていますが、ウイルスの種類も、体に与えるダメージの大きさも全く異なります。
| 項目 | インフルエンザ | 一般的な風邪 |
| 発症のスピード | 突然・急激に発症する | 徐々に症状が現れる |
| 熱の高さ | 38℃〜40℃の高熱が出やすい | 微熱〜38℃程度が多い |
| 全身症状 | 非常に強い (激しい倦怠感、関節痛など) | 比較的軽い |
| 呼吸器症状 | 発熱の後に、咳や喉の痛みが目立ち始める | 発熱と同時、または先に鼻水・喉の痛みが出る |
| 回復までの期間 | 1週間程度 | 数日〜1週間程度 |
| 重症化リスク | 小児の脳症や、高齢者の肺炎などに注意が必要 | 重症化することは少ない |
インフルエンザは、ウイルスが体内で爆発的に増殖するため、全身を巻き込んだ強い症状を引き起こします。「一晩寝れば治る」と自己判断せず、適切な医療機関の受診が推奨されます。
受診のタイミングと検査・診断
インフルエンザの治療効果をしっかり引き出すためには、受診のタイミングが非常に重要です。
早すぎても「陰性」になってしまう理由
インフルエンザの迅速検査(鼻の奥を綿棒でこする検査)は、体内のウイルス量が少ない発症直後(熱が出てすぐ)に行うと、実際には感染していても「陰性」となってしまうことがあります。そのため、熱が出てから半日(12時間)ほど経過してからの検査が正確です。
発熱などの症状が現れてから12時間〜48時間以内
また夜間に急激に熱が出た場合は、慌てて夜間救急に駆け込むのではなく、翌朝(半日程度経過後)に受診されることをお勧めします。
※「検査前に市販の解熱鎮痛剤を飲んでしまった」という場合でも、ウイルスの量自体が減るわけではないため、検査結果には影響しません。我慢せずに薬を服用し、受診時に医師へお伝えください。
検査キットを使わない「臨床診断」について
ご家族や職場など、周囲でインフルエンザが明確に流行しており、かつ典型的なインフルエンザの症状が出ている場合は、必ずしも痛みを伴う検査を行わなくても、医師の総合的な判断(臨床診断)によってインフルエンザと診断し、お薬を処方することが可能です。
インフルエンザの種類と近年の流行傾向
ヒトに感染して大きな流行を起こすインフルエンザウイルスには、主にA型とB型があります。
- A型インフルエンザ
ウイルスの変異が起こりやすく、世界的な大流行(パンデミック)を起こしやすいタイプです。38℃以上の高熱や激しい関節痛など、典型的な重い症状が出やすいのが特徴です。 - B型インフルエンザ
A型に比べると発熱が穏やかなケースもありますが、長引きやすい傾向があります。特に小児においては、消化器症状(下痢や腹痛)を伴うことが多く見られます。
近年は、新型コロナウイルス感染症の流行を経た免疫状況の変化により、冬場(12月〜3月)だけでなく、春先や秋口など季節外れに局地的な流行を起こすケースも増えています。
「今の時期はインフルエンザじゃないだろう」という思い込みは危険です。
インフルエンザの治療薬について
インフルエンザと診断された場合、症状やご年齢に合わせて「抗インフルエンザウイルス薬」と、症状を和らげる「対症療法薬」を処方します。
抗インフルエンザウイルス薬
ウイルスの増殖そのものを抑えるお薬です。
発症から48時間以内に使用を開始することで、発熱期間を1〜2日短縮し、ウイルスの排出量を減らす効果が期待できます。
- 内服薬(飲み薬)
5日間しっかり飲み切るタイプ(オセルタミビル等)
1回の服用で済む新しいタイプ(バロキサビルマルボキシル等) - 吸入薬(気道に直接作用)
口から粉末状の薬を吸い込むタイプ(ラニナミビル等) - 点滴薬
飲み込みが困難な方や、胃腸症状が強い方向けに1回の点滴で行うタイプ
対症療法薬
熱や痛みを和らげる解熱鎮痛剤、咳止め、痰切り、のどの炎症を抑えるお薬などを、つらい症状に合わせて処方します。
インフルエンザの際、市販の風邪薬や一部の痛み止め(ロキソプロフェンやサリチル酸系など)を自己判断で使用すると、特に小児の場合は「インフルエンザ脳症」などの重篤な副作用を引き起こすリスクがあります。
解熱を目的とする場合は、医師の指示に従い、安全性の高い「アセトアミノフェン」成分のお薬を使用するようにしてください。
危険なサインを見逃さないで!注意すべき合併症
インフルエンザは多くの場合1週間程度で自然に回復しますが、体力のない小さなお子様やご高齢の方、基礎疾患(糖尿病、喘息、心疾患など)をお持ちの方は、重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。
- 小児で注意すべきこと(インフルエンザ脳症・異常行動)
けいれんが止まらない、意識がもうろうとしている、意味不明なことを言うなどの症状があれば、速やかに救急受診が必要です。また、発熱から最初の2日間は、突然走り出したり窓から飛び降りようとしたりする「異常行動」が報告されています。お子様からはなるべく目を離さないよう、厳重にご注意ください。 - 高齢者で注意すべきこと(肺炎)
インフルエンザによって気道の粘膜がダメージを受けると、そこに細菌が感染して重い肺炎を引き起こしやすくなります。熱が下がらない、黄色や緑色の濃い痰が出る、息苦しそうにしている場合は要注意です。
自宅療養の注意点と、登校・出勤の目安
処方されたお薬を使用すると、多くの場合2〜3日で熱が下がります。しかし、熱が下がっても体の中にはまだウイルスが残っており、他人にうつす危険性があります。
ご自宅での過ごし方
- 水分補給
高熱による脱水を防ぐため、経口補水液などでこまめに水分を摂りましょう。 - 家庭内感染の防止
ご家族とお部屋を分け(隔離)、看病する方はマスクを着用し、こまめな手洗い・アルコール消毒を徹底してください。定期的な換気も有効です。 - 異常行動への注意
発熱から2日間程度は、突然走り出すなどの異常行動が報告されています。お子様が感染した場合は、できる限り目を離さないようご注意ください。 - 処方薬は飲み切る
5日間飲むタイプのお薬は、途中で熱が下がっても必ず最後まで飲み切ってください。
いつから学校や職場に行ける?
インフルエンザの感染拡大を防ぐため、法律(学校保健安全法)により以下の基準が定められています。
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで
※「発症した日(熱が出た日)」を0日目として計算します。
※社会人の方に対する法律上の就業制限はありませんが、多くの企業が学校の基準に準じた就業規則を設けています。無理に出社せず、お勤め先の人事・総務担当者へご確認ください。診断書や治癒証明書が必要な場合は、当院にて発行いたします(別途文書料がかかります)。
来シーズンのためにできる予防とワクチン
インフルエンザ予防の基本となるのは、流行前のワクチン接種です。
ワクチンには、感染そのものを完全に防ぐ効果はありませんが、「発症を抑える効果」と、もし発症しても「重症化(脳症や肺炎)を防ぐ効果」が証明されています。
- 不活化ワクチン(皮下注射)
生後6ヶ月から接種可能な、従来からある注射タイプのワクチンです。 - 経鼻弱毒生ワクチン(点鼻液)
鼻の中にスプレーするタイプの新しいワクチン(対象年齢:2歳〜18歳)です。注射針を使用しないため、痛みの負担を軽減できます。
また、日々の手洗い、適切な湿度の保持(50〜60%)、人混みでのマスク着用といった基本的な感染対策も継続して行いましょう。
当院のインフルエンザ診療(オンライン診療)
当院では、インフルエンザが疑われる急な発熱や体調不良に対し、終日10:00〜22:00までオンライン診療で対応しております。
「高熱が出ていて、病院の待合室で長時間待つのがつらい」
「夜になって急に熱が上がり、関節が痛くて動けない」
「家族にうつしたくない、他の感染症をもらいたくない」
このような時は、スマートフォン一つでご自宅からすぐに医師の診察を受けることができます。
症状や周囲の流行状況を丁寧にヒアリングし、インフルエンザの可能性が高いと判断された場合は、速やかに治療薬を処方いたします。処方箋はお近くの薬局へお送りするため、ご家族にお薬を受け取りに行ってもらうことも可能です。
つらい症状でお困りの際は、我慢せずに当院のオンライン診療をご活用ください。

Oneclinic恵比寿
監修者
2016年に長崎大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院にて勤務。2021年には現Oneclinic恵比寿を開院し、マンジャロやリベルサスなどの医療ダイエット領域にて多くの患者を診察しています。また一般社団法人予防医療研究協会にも所属しながら患者の体重や健康、ダイエットに関する情報発信も自身のYoutubeチャンネルを通じて行っている。…続きを見る
◼︎参考文献
・国立成育医療研究センター「インフルエンザ」
・厚生労働省「インフルエンザ (総合ページ)」
・厚生労働省「令和7年度インフルエンザQ&A」
・東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況 (東京都 2025-2026年シーズン)」
・政府広報オンライン「インフルエンザの感染を防ぐポイント」
・日本小児科学会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」